Don't think, feel・・・
きものを着る回数が増えた頃 なんて現代時間に合わないものなんだろうと思いました。
まず、なんだかんだと毎日忙しい。 そんな中でアイロンがけやら、半襟付けやら、着付けやら、、、 ちゃちゃっと着れる洋服とは違い準備の時間と手間がまぁ、かかること。
慣れると半襟付けやきものを着る時間は短縮されていくのですが。。 そして多くの方が悩むであろう 袷(あわせ)・単(ひとえ)・夏物といった衣替えのタイミングや 格や柄行きによるTPOの使い分け、ルールに所作・・・。 もちろん私も悩んだ一人であります。 きものを着る機会が少ないと余計に固定概念が先行し着ることに構えてしまう。 失敗を恐れるあまりいろいろ頭に詰め込んだ結果、頭でっかちになってきものを楽しめないスパイラルに陥っていく。・・・ぜんぜん楽しくないですね、これって(涙)
それで私が行き着いた結果は〜 頭で考えるのをやめることです。まずは着ること。袖も通さず悶々と考えるのはNG。
まずはカラダで覚えるのです。 そして忙しい毎日の中に一時でも景色を眺めて季節の移ろいを感じる時間を作るのです。
考えるな、感じろです。(おやおやw?)
温暖化もあり気候の変化はみなさまご承知の通り。 ここ北海道・旭川も夏は梅雨っぽかったり、冬の寒さは子供の頃に比べたら全然あたたかい。息を吸ったら鼻の穴がくっつくことって少なくなりました。いや、ほぼ無いに等しいです。 が、旭川で生活する私が感じたのはこの温暖化のお陰というのも変ですけれど、なんときもの暦にぴったりか!!ということです。人によっての体感温度の差はもちろんありますのでザックリとした話になりますが、、 「袷」は10月から5月までとされていますが、ゴールデンウィーク前後に桜の咲く旭川はまだまだ寒く春といえども上着が必要。もう少し厚着(袷)でいたいのです。 そして桜が散り新緑が暖かい陽射しに映える頃がちょうど6月。やっと暖かくなった喜びに服装も薄着になります。つまりそれが「単」の季節。 それでもまだまだ半袖に素足にはなれず、7月に入り旭川の短い夏を楽しまなくちゃ!と服装は夏モード。露出や透け感のあるものを着出すのが7月〜お盆ぐらいまででしょうか。それが「夏物」の季節。 お盆を過ぎれば秋風が吹き、羽織もの必須に。夏の終わりを愁いつつ秋の準備がはじまる。「夏物」が少しずつ「単」の9月に向かっていきます。 秋晴れとも言える暖かい日もあれば、陽が差さないときは肌寒くある9月は重ねすぎると暑く、透けすぎると寒い。つまりは「単」がなんとも過ごしやすいわけです。 10月に入れば秋仕様。デニール数が少し高めのタイツの出番。何かしら1枚重ねる季節、それが「袷」の始まり。 こうやって1年のサイクルを洋服の感覚に置き換えてみるときものも案外同じなのです。 話は極端ですが夏にセーターを着ないように、きものも「夏物」の時季に「袷」は着ないのです。荒療治ですが試しに夏に袷を着てみましょうか、着付けの時点ですでにやってられません。汗だくものです。体感するのが本当に一番習得します。 私の経験のひとつとしては〜 真綿紬はあったかい。そう聞かされ、12月に着用し出かけた先はホテルの宴会場。 暖房ききまくりの会場で真綿紬。真冬なのにひとり汗だくで脱水症状を起こすかと思いました(笑)以来、出かける場所がどこかによって素材も考えるようになりました。 TPOも自分の立ち位置を理解すると緊張も失礼もなくなります。
庭先や公園に咲く花、成長とともに彩りが変化する植物。 初冬から春先こそ「色」のない景色になりますが、自然とともに生活している感覚を持つときものの柄行きでの悩みも解消されていきます。 そんなふうにして景色を眺める時間が習慣になると
「心豊かに暮らす」ということにきものを通して気づけるのだと私は思っています。 SNSで全国各地のキモノビトの方々の生活を覗かせていただける機会が増えました。 みなさん自分たちの暮らすその土地の気候や気温に応じて柔軟にきもの暦をズラしておられます。 きものや帯で北海道に馴染みのない花に出会い、はてさて何月の柄なのか??と思ったらググってしらべましょう。わからなければどうぞお問い合わせくださいませ☆ 旭川は雪模様でも福岡ではコスモスが咲いているそうです。 まさに列島。日本は長いのです。 茶道では11月から冬手前になります。炉開(ろびらき)といいます。 今日はお茶のお稽古。旭川は冬らしい景色で溶けた雪もまた降り出しました。 明日はまたこの景色に会えますね。